寝不足のまま搭乗
出発の二日前にダウンして旅行の実現が危ぶまれたものの、なんとか飛行機に乗った私。
このまま安静に席に着いていれば無事に到着するはず……そう思っていたのが甘かった。
羽田までは良かった
……途中までは順調だったのです。
↑雪景色の旭川を飛び立ち……。
↑羽田が見えてきた!
↑羽田空港に無事着陸。小松空港までの乗り継ぎ便が出発するまで、空港内を見学。
↑羽田空港到着から一時間後、小松空港行きの飛行機に搭乗。窓からは東京スカイツリーが見える!
↑初めて見る東京スカイツリーが飛行機の窓からっていうのもなかなか良いね!
↑富士山も見えた! 絶景絶景!
着陸五分前に吐き気
体調は、万全ではないものの、小康状態を保っていました。このままいけば、なんとかあらや滔々庵まで予定通りたどり着けそうだ……。
なんて思っていたら!
あと五分ほどで小松空港に着陸という段になって、急に吐き気を催してきたのです。
嘘っ。こんなタイミングで? 焦りましたが吐き気は止まらない。貧血のようになって、手先、足先が痺れてきました。
隣に座っている母に「母さん、どうしよう、すごく具合が悪くなってきた……」と訴えます。母は、座席に備え付けのエチケット袋(内側が防水加工された紙袋)を慌てて用意し手渡してくれました。
機体は着陸したものの
飛行機が小松空港に着陸します。タイヤが滑走路を走る感覚が体に伝わってきて、ああ、着いたんだ……と思いましたが、そんなときに私は今にも吐きそうになっていました。
吐くかも……! と思い、座った状態で咄嗟に前屈みになり、口元にエチケット袋をあてがいます。
胃が勝手に波打って、エチケット袋に向かって私はオエッとなりました。
しかし、食べ過ぎによる乗り物酔いを防ぐために、朝から梅干し一つしか食べていなかったおかげで、嘔吐の状態になったにもかかわらず、胃からは何も出てきませんでした。
危ない……何も食べていなくて良かった……と思いながらも、私はエチケット袋を口にあてがったままぜえぜえと息を切らしていました。
客室乗務員さんの助け
乗客全員が降りてもなかなか動けない私たちのもとに客室乗務員さんがやってきます。母が事情を説明すると、飛行機内の化粧室に行くことを勧められました。
しかし、着陸した飛行機の中で手間取れば、それだけ清掃などが遅れ、迷惑がかかるはずです。とりあえず飛行機を降りた方が良いのではないかと思い、一度は遠慮したのですが、「顔色がよろしくないので……」と客室乗務員さんに心配され、肩を抱えられるようにして化粧室に入りました。
顔色が良くないとさっき言われたけれど、マスクをつけるからと口紅を塗らなかったせいで顔の血色が良くなく見えただけじゃないかな……なんて思っていたのですが、化粧室内の鏡を見て、自分の顔色に我ながらびっくりしました。さながら、カサブ石けんのような緑色です。↓
これは心配もされますわ……。と思いました。
車椅子登場
化粧室を出て飛行機から出ようとすると、なんと、そこには車椅子が用意されていました。
エ、エ、エ、エ~~と思いましたが、ニコニコと乗ることを促され、お言葉に甘えさせていただきました。
大学時代、教員免許取得課程の一環で特別養護老人ホームに介護体験に行ったときのことを思い出します。
あのとき、私は、こんな風に車椅子を押しました。それが今、逆に、私が押してもらっている……。
まさか、こんなに早く逆の立場を経験することになるとは思っていませんでした。人生初めての車椅子です。
押してくださったのは小松空港の女性職員さんでした。とても優しく対応してくださって、感謝しきり、恐縮しきりです。
小松空港の到着ロビーに着き、車椅子がベンチに横付けされました。具合が良くなるまで車椅子に座って、もう大丈夫になったら車椅子はそのまま放置していって構わないとのことでした。
私のことを最後まで心配しながらにこやかに立ち去っていく空港職員さんを、お辞儀しながら見送ります。本当にお世話になりました。
バスの予定をタクシーに
さて、これからです。隣で、ベンチに座った母と相談します。本当はここから、加賀周遊バス(空港線:一人500円)というのに乗って、40分かけて加賀温泉駅まで行く予定でした。
加賀温泉駅まで、「あらや滔々庵」の迎えの車を予約してもいました。
気分は、だいぶ良くなっていました。顔色も戻り、なんとか動けそうです。
しかし、「乗り物酔いしたばかりでバスに乗るのは無理」だと、母に反対されました。
「タクシーに乗ろう。そのくらいのお金は持ってきているから」
タクシー……。考えるだけでお金がかかりそう! 今回の旅では宿泊代がとてもかさんでいるので、交通費はなるべく抑えたいと思っていました。それがタクシー……。
でも、確かにバスに40分も乗っていたらまた酔いそう……。
また酔ってダウンなんかしたら、せっかくのあらや滔々庵が台無し。
もう、こればっかりは仕方ない。「乗り物酔い防止」を第一優先に考えてタクシーにしよう。
私はすぐに「あらや滔々庵」に電話をして、飛行機酔いのため空港バスに乗れず直接タクシーで行くこと、予約してあった迎えの車は来てもらう必要がなくなったことを伝えました。
タクシー乗り場はすぐそこ。……さあ、行くか!
恐竜博士
私は車椅子から立ち上がりました。そしてタクシー乗り場に向かう……その前に、一枚、小松空港到着の証として写真を撮ることにしました。
↑小松空港のある石川県のお隣、福井県勝山市(「恐竜博物館」所在地)からやってきた「恐竜博士」です。到着ロビーに入ったときから気になって、どうしてもこれだけは撮りたいと思っていました。
小松空港に到着してから50分が経過していました。空港前に待機していた「さくら交通タクシー」に乗り込み、一路「あらや滔々庵」へ。
運転手さんは「あらや滔々庵」のご近所に住んでらっしゃるとのことで、「良い宿だよ~」と話も弾みました。
そして、地元だけあって大相撲力士の遠藤のこともよく知っていて、遠藤トークで盛り上がりました。
30分ほどで「あらや滔々庵」に到着。6300円ほどかかってしまいましたが、とても乗り心地の良いタクシーだったため、酔わずに済んでありがたかったです。(→「あらや滔々庵に到着」に続く)