到着
ひどい飛行機酔いによる車椅子出動の騒動も乗り越え、小松空港からタクシーで約30分。あらや滔々庵に到着しました!!
↑落ち着いたたたずまいです。木がこんもりと生い茂ったところが宿の入り口で、その左がお土産屋さん、右手には無料の足湯があります。
足湯に先客
↑足湯に興味があったので覗いてみたら、男性、女性、あわせて六名ほどの先客が。
この中に一人で乱入していく勇気も出ず、別にここで足湯をしなくてもあらや滔々庵の温泉に入れば済む話だと思い、今回はスルーすることにしました。
あらや滔々庵へ
↑あらや滔々庵の入り口に向かいます! 和風な感じの情緒が素敵!
↑のれんをくぐる前に、源泉を飲める場所がありました。「飲用の適応症」として「動脈硬化、高血圧、糖尿病、貧血、慢性便秘」と書かれていました。
飲まずに、流れ出る源泉にちょっと触ってみたら、「あっづ!!」という感じでした。源泉の温度は64度。けっこう高温です。
↑いよいよロビーに入ります! さすが、バーを除く館内禁煙だけあって空気が綺麗!
キョロキョロする間もなく、即座に女将さんらが出てきてくださって、畳に三つ指をついて挨拶してくださいました。
↑明治から昭和にかけての芸術家、北大路魯山人が描いた「烏(カラス)」の衝立が目を引きます。
靴を脱いで上がります。私の持っていたキャリーバッグは「置いたままにしてくれ」ということで、持たずに部屋に向かうことになりました。↓
↑この旅行のために買ったキャリーバッグ(プロテカのソリエ)。容量は27リットル。荷物パンパンでずっしり重たい。
館内は畳敷き
↑案内してくださる担当女性の後ろについていきます。館内は、すべてピカピカの畳敷き! ソックスを通して伝わってくる畳のフカフカした感触が気持ちよいですし、何より「和室の中を歩いている」ような感じがしてリラックスできます。
ストッキングを穿いていた母は、「足が冷たくなくて歩きやすい」と大感激していました。
↑途中の坪庭が目を楽しませてくれます。
↑九谷焼陳列棚の前を横切り、エレベーターへ。
↑エレベーターの床も抜かりなく畳敷きです!
宿泊する「若菜」
↑二階に到着して、エレベーターから一番近い部屋が今回私たちの泊まる「若菜」です。
お値段、一人一泊約四万三千円。
「あらや滔々庵」は部屋によって二種類の価格に分かれていて、
一般的な和室(主室が一つでそこに布団を敷いてもらう。風呂はついているが温泉ではない)だと約三万一千円。
半露天風呂つき客室(主室と寝室が分かれていて、寝室にローベッド。源泉掛け流しの露天風呂つき)だと約四万三千円します。
料理は同じですし、温泉に入りたければ大浴場に行けば良いのですから、「一般的な和室」でも十分といえば十分なのです。
しかし、今回の旅行は母の「定年退職記念旅行」。母の「疲れたらすぐベッドに横になりたい」という希望を最優先させ、思い切って高い方の部屋にしました。
値段分の価値はあるのか
私はそれまで一人で国内旅行をする際、宿泊費はできるだけ抑える方針でやってきました。宿は最低限、お風呂に入って眠れれば良い。ですから、「朝食付き一泊五千円」とか、そんなところにしか泊まったことがありませんでした。
そんな私にとって!! 一人一泊四万円超とは!! そんなところにそこまでお金をかける必要があるのかと、かなり頭がクラクラしました。
けれど母の「一生に一度で良いから、上げ膳据え膳の、料理の美味しい豪華な旅館に泊まりたい」という希望を叶えるため、清水の舞台から飛び降りたのです。
……ねえ。そんなに宿泊費を払って、本当に、それだけの価値があったと感じられるの?
半信半疑のまま、部屋に入ります。
いざ入室
↑私たちが泊まる「若菜」のドアを開けると、畳の廊下をすぐ左折。そして右折。凝った動線が部屋の奥行きを感じさせます。
↑主室まで伸びる廊下の右手に寝室。左手にトイレと風呂・洗面所。こぢんまりとした中にも整然とした雰囲気があります。
↑そして主室。……ほぉぉぉ~。チリ一つ落ちていない、清潔感のある部屋です。間接照明が良い感じ。エアコンの調節器が壁に埋め込まれていて、自由に温度設定できます。外がちょっと寒くて体が冷えていたので、温度を上げさせてもらいました。
抹茶と麩饅頭!
↑そして、熱々のおしぼりとともに運ばれてきたのがこちら! 抹茶と麩饅頭です。おお! これが噂のウェルカムドリンク!!
……私は、一泊目の宿をどこにするか調べている中で、高級宿では到着時に「ウェルカムドリンク」なるものが出されることを知りました。
宿に着いたら飲み物を出してもらえるなんて……もちろん、そんな経験をしたことは一度もありません! いかにも特別待遇! 素敵!
憧れの抹茶
さらに調べると、ウェルカムドリンクとして出されるものは宿によって異なり、「ジュース」か「抹茶」、どちらかになることが多いとわかりました。
私が憧れたのは抹茶です!!
いかにも高級温泉宿という情緒が漂っています。
ですから、宿の条件に「ウェルカムドリンクとして抹茶が出ること」を加え、最終的に決めたのが「あらや滔々庵」だったのです。
楽しみにしていたウェルカムドリンクを前にテンションが上がります!
宿選定の条件
(ちなみに、宿選定時に条件として挙げたのは以下九項目。
①部屋にベッドがある(母の希望)
②部屋食である(母の希望)
③夕食がとにかく美味しい(母の希望)
④できれば部屋に掘りごたつがついている(母の希望)
⑤宿に到着してすぐ出してもらえる飲み物が抹茶である(私の希望)
⑥接客が良い(私の希望)
⑦食事内容が野菜と魚介類で構成されている(肉が出ないor少ない)(母の希望)
⑧母の、「一生に一度は豪華な温泉旅館に泊まりたい」という願いにふさわしい高級感がある(私の希望)
⑨大浴場の脱衣所が禁煙(私の希望)
あらや滔々庵は、「部屋の掘りごたつ」以外はすべて満たしていました。)
美味しい
↑では麩饅頭から早速いただきます……。お、この麩饅頭、ムッチムチすぎて黒文字(楊枝)で切れない。仕方ないので黒文字に刺してかじりつきました。
……うわ~美味しい! 中のあんこも甘さ控えめで。
朝、梅干しを一つ食べたきり飲まず食わずだったので、余計に美味しく感じます。
(ちなみに後日、この麩饅頭がどこのお店のものなのか宿まで問い合わせてみたところ、「京都から取り寄せた業務用のもので普通には売られていない」との答えでした。売られていたならお取り寄せしたかったので残念でした!)
↑抹茶も、熱々で、舌触り滑らかで、美味しい。胃にしみる~。最後の一滴まで飲み干し、やっと人心地がつきました。
ウェルカムドリンクって、良いものですね。到着の疲れがホッと癒されました。
キャリーバッグのタイヤ拭きサービス
器を眺めながらくつろいでいると、担当女性が、先ほどロビーで預けたままだった私のキャリーバッグを持ってきてくださいました。「こちら、車輪を綺麗にお拭きしておきました」とのことで、一度受付に置いていくよう言われたのは車輪を拭くためだったのだとわかって膝を打つ思いでした。
畳敷きの室内に運び入れるのだから当然といえば当然なのかもしれませんがその心配りに感激しました。
これが高級旅館というものか……!! さすがだ……!!(→「あらや滔々庵の客室内と寝室チェック」に続く)